上顎の奥歯部のインプラント治療の際、インプラントを埋める骨の高さが十分でないことがあります。
同部の骨の上には、蓄膿症のときに膿がたまることで知られる上顎洞と呼ばれる空洞があります。この部分に骨移植を行い、インプラントを埋入することができます。
方法には、サイナスリフトとソケットリフトと呼ばれるものがあります。両者には、一長一短あり、どちらかを希望してもその術式が必ず可能とはいえません。
術前診査が重要なわけですが、この診査にはCT撮影が欠かせません。
歯槽動脈の枝を損傷するリスクがあったり、上顎洞粘膜の損傷や、副鼻腔炎のリスクがあるためです。
いかに、その違いをまとめます。
サイナスリフトVSソケットリフト
サイナスリフト(いわば開腹手術)
●短所 1.術後の腫張が大きい 2.期間が長い 3.ソケットリフトより割高 ●長所 1.明視下に施術 2.粘膜穿孔時の対処が楽 3.初期固定を得られる骨がなくても適用可能 |
ソケットリフト(いわば内視鏡手術)
●短所 1.初期固定を得られる骨がなければ、適用不可能 2.盲目的手術の為、偶発症(粘膜穿孔・出血)に対応困難 ●長所 1.侵襲性 2.期間が短い 3.サイナスリフトより割安 |
サイナスリフト | ソケットリフト |
STEP1 | STEP1 |
サイナスリフトでは、上顎洞に骨移植を行います。イラストのように上アゴの歯肉の側面に切開を入れ、骨面を露出しさらに10~30mm程ある歯槽骨に窓を作ります。窓を開けると上顎洞粘膜が露出しますので、注意深く歯槽骨と上顎洞粘膜をはがしていき、スペースができたところに移植骨で埋めていきます。 | 歯槽骨にドリルで穴を空けます。1mmの歯槽骨を残した状態で、穴を掘るのを止めます。 |
STEP2 | STEP2 |
上顎洞粘膜と歯槽骨の間に10mm以上の移植骨が入りました。手術後にデジタルレントゲン撮影で確認しますとイラストのように写るでしょう。移植手術から3か月以上そのままで待ちます。移植骨が完全に自分の骨となる期間です。術後、痛みはそんなにありませんが、腫れることがあり3~4日でよくなります。 | この穴に先が純な棒を差し込み、棒をマレット(トンカチのようなもの)で叩くと1mmの歯槽骨と上顎洞粘膜が持ち上がります。穴をあけ持ち上げるのでソケットリフトと呼びます。
そこに移植骨を入れ、次にインプラントのフィクスチャー(ネジ部)を埋入します。 |
STEP3 | STEP3 |