インプラント治療
インプラント治療について
|インプラント治療の流れ||画像で見るインプラント治療の流れ|
| 失った歯の補い方の選択肢と利点欠点||インプラント治療の利点|
| インプラント治療の欠点・リスク||
インプラントで新しい生活を!
当院では、下記のストローマン社製のインプラントを使用しています。
◆ ストローマン社製のインプラントのメリット
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歯はあなたの魅力の一部
- 美しい歯は口元の表情を決める重要な役割
- 歯を失うと見た目の美しさを損なう
- きちんと話せなくなる
- 食生活にも大きな影響がある
インプラントって何?
- チタン製の小さなスクリューで歯根の代わりになる
- インプラントを顎の骨に埋入して6から12週間待って冠や義歯が入る
こんな時頼りになります
病気で歯を失ってしまった・・・
事故で歯を失ってしまった・・・
先天性で歯が生えない・・・
インプラント治療の流れ
1.治療方法の計画
患者さんの口腔内の状況を診断し、手術計画を立てます。歯科医は患者さんに細かい情報を伝え、要望に添ってアドバイスを行い、抱いている疑問に対し明確にしてくれます。そして、レントゲンを撮り、手術計画を作成し、インプラントの埋入位置を決めます。
2.手術(埋入)
局所麻酔を行い、インプラントを埋入します。その後インプラント表面と周りの骨が結合し、固定するための治癒期間を待ちます。治癒期間は状況により異なりますが、約6週間から12週間を必要とします。
3.修復物の装着
治癒期間を経て、新しい歯冠をインプラントに固定します。
歯とインプラントのケア
お口の中を清潔に保つ
歯科医院で定期健診を行い、あなたの適したお手入れの方法の指導を受ける
インプラントのメリット
- 天然歯のような審美性の回復
- 修復物に対する安定した基盤
- 隣の歯を削らない
- 義歯をしっかり支える
- 骨が委縮するのを防ぐ
画像で見るインプラント治療の流れ
上が初診の状態でした。ここでは、上顎のインプラント治療に絞ってお話します。
患者さんの中には、初診後すぐ、手術が出来ると思われている方がいます。
しかし、診療案内の治療の流れでいうとSTEP3の再評価検査後に手術を行います。つまり、むし歯があったり、歯周病があったりする場合、まずその治療が先となります。これは、手術時やその直後のインプラントへの細菌感染を防ぎ、インプラントを長持ちさせるために必要不可欠なことです。
患者さんは、取り外ししないブリッジでの治療を希望されました。
そこで、まず、治療の目標(ゴール)を設定するために咬合器上で診断用ワックスアップを行いました。これは、模型上で歯科用のろうを使って歯を並べるものです。
下記の写真は、そのろうを石膏におきかえたものです。
これをもとに、診断用ステントを作成し、口元の様子や骨の状態を調べます。
この診断用ステントを装着した上でCTを撮影し、そのデータをシンプラントという専用のソフトに取り込むことで、パソコン画面上でインプラント手術をシュミレーションできます。
神経や上顎洞などを避けているか、インプラントを埋入するのに必要な骨の高さや幅は十分か。
足りない場合、骨をどの程度作らなければならないか。骨質はどうかなど、術前に知ることで患者さんに対する説明や手術の準備を十分に行うことが出来ます。
その上で、麻酔や鎮静の方法などを考慮することも出来ます。
安全第一ですので、複雑なケースでは必ずこの術前の手術シュミレーションを行っています。
以下、今回のケースの画像の1部を紹介します。
この7歯欠損に対しては、インプラントは4本で治療を行うこととしましたが、骨の幅が足りないところが多く術前シュミレーションなしの手術では、患者さんに与える身体的・時間的侵襲が多大になるケースでした。
シュミレーションのおかげで、患者さんの希望でもあった「骨造成術など腫れや痛みの出やすい術式は避けたい」
はある程度、希望に添えたと思います。
具体的には、骨が比較的にあり補綴的にもよい部分を探し、その部位と埋入角度を診断用ステント上に落とし込み手術時の参考としました。
インプラントが骨と結合後、仮歯を装着しました。
その後、上顎前歯部の歯肉退縮を避けるために口蓋の結合組織を移植しました。
その後、治癒期間を数カ月おき、最終的なブリッジを装着しました。現在まで定期健診を欠かさず行っています。
失った歯の補い方の選択肢と利点欠点
【欠損を放置した場合の問題点】
- ◎喪失歯の方向への隣在歯の傾斜
- ◎正しいかみあわせの喪失
- ◎喪失歯のかみあわせの歯がのびてくる
- ◎歯の間に隙間ができ、ものがつまる
- ◎歯が汚れやすく、虫歯になりやすい
- ◎汚れやすい場所が増えプラーク・歯石がつく
- ◎歯肉がふくれ、出血しやすい
- ◎歯肉にポケットができ、うみがでやすい
【欠損はどこまで補うべきか】
世界的なコンセンサスでは、6までは補う ただ、5までの短縮歯列でも悪くはない。したがって、7は必ずしも補わなくても良い
【欠損補綴の選択肢とその典型的利点・欠点】
1 インプラント
(利点)
- とりはずさない(ネジ止めなら、歯科医師はとり外せる⇒修理しやすく、トラブルに対応).但し、とりはずしの義歯にも応用可能。
- 残存歯を削らない・負担をかけない
- 残存骨の保護
- かみきりがよい
- 動かない
- かみあわせが長く保たれ(=無理な力による破壊が起きにくい)、メンテナンスしやすい。
- 自然感
- 顔の変形を防ぐ
(欠点)
- 外科処置が必要
- 費用
2 ブリッジ
(利点)
- 取り外さない
- 伝統的でなじみぶかい
- かみきりがよい
- 動かない
- 外科処置なし
(欠点)
- 残存歯を削り(3案の中では最も削る)、負担をかける。歯根破折で抜歯もありうる
- 清掃しにくい⇒ 歯間ブラシ必要
- 残存骨の吸収
- 保険では犬歯よりうしろは全部銀歯となる
- 生活歯をブリッジの支台とする場合、しみが残ったり、ひどい場合は抜髄もありうる
3 とりはずしの義歯
(利点)
- 外科処置なし
- 安い
- 取り外せば清掃しやすい。但し、つけっぱなしだと細菌の巣窟となる。
(欠点)
- 異物感・装着感悪い
- 取り外して清掃する必要あり
- 動く
- 残存歯をわずかに削り、負担をかける
- かみきりが悪い
- 見た目にバネが見えたりし、審美的によくない
- 顎底の吸収(年に平均0.3~0.5ミリ)とともに、常に常に義歯の裏打ちを足す事になり時間の経過とともに、義歯のプラスチックが厚くなる
- 人工歯がすりへりやすく、かみあわせによる破壊が起き易い⇒メタルオクルーザル
4 移植
(利点)
- 残存歯を削らない・負担をかけない
- 親知らずを利用する場合、保険適応
(欠点)
- 約1カ月は、移植した側で全くかめない
- 外科処置での体に対する侵襲は、インプラントより大きいこともある
- 中長期的には骨と癒着したり、根の吸収が起こりやすい
インプラント治療の欠点・リスク
インプラント治療の欠点・リスクには、大きく
(1)外科手術に伴うもの
(2)治療費
(3)新たな疾患「インプラント歯周炎」罹患の可能性
があります。
以下、説明いたします。
(1) 外科手術に伴うもの
・・・これには、動静脈の損傷、神経麻痺、副鼻腔炎などがあります。
ここでは、部位ごとのリスクについて記載していきます。
1.上顎埋入時のリスク
翼突筋静脈叢の損傷
上顎臼歯部は歯槽骨の吸収でインプラント埋入の骨量が不足していることが良くあります。その際サイナスリフトを行わずに臼後結節に埋入することがあります。臼後結節はその後ろに翼突筋静脈叢があり埋入は慎重におこなわなければなりません。CTで骨の形状を把握して、絶対に後方に穿孔させないようにします。
大口蓋動脈の損傷
大臼歯部内方にあるかなり太い動脈で損傷させると止血させるのが大変です。無歯顎の場合位置がわかり辛く、剥離やドリリングの際注意します。CTであらかじめ位置を確認しておきます。
大口蓋動脈の損傷
大臼歯部内方にあるかなり太い動脈で損傷させると止血させるのが大変です。無歯顎の場合位置がわかり辛く、剥離やドリリングの際注意します。CTであらかじめ位置を確認しておきます。
鼻涙管の損傷
眼窩内側前縁から下鼻道に開口します。鼻涙管はやや後下方へ向かうためインプラントと接触することはまれです。犬歯部鼻腔と眼窩部の狭い骨の間に深く埋入しようとするとおきることがあります。損傷すると涙目になってしまいます。この部分はあまり深く埋入させません。
上顎洞 鼻腔などの粘膜の損傷と副鼻腔炎
骨膜や上顎洞粘膜は骨再生能力があるので、上顎頬側粘膜 鼻腔粘膜 上顎洞底粘膜などを損傷すると上顎洞などの副鼻腔炎になることがあります。損傷自体が即、副鼻腔炎にはなりませんが、そこに感染が起こると副鼻腔炎になってしまいます。服鼻腔はいくつかあるのですが、それらはつながっており、前頭洞などは脳にも近いため、副鼻腔炎を軽視することはできません。
切歯管(口蓋部前方)の損傷
口蓋部前方に分布している神経が切歯管より出ていますので、上顎前歯部にインプラントを埋入するさい気になるところです。この部分は損傷させて問題となるほどの麻痺はでないとされています。 インプラントがその部分にふれるようですと骨と結合しないわけですので、ラウンドバーで切歯管の深い位置で鼻口蓋神経を切断して骨補填材を入れたほうが良いとされています。わたしの経験でも問題は生じませんでした。
下顎埋入時のリスク
オトガイ下動脈 舌下動脈の損傷
下顎にインプラントを埋入しようとして舌側に穿孔することは非常に危険です。 臼歯部での穿孔によりオトガイ下動脈 舌下動脈を損傷することがあります。 ドリルによる血管の切断は、ナイフなどによるものと違い、ゴムのチューブを引きちぎるように切断します。切断された血管は伸びたゴム管が縮まるように切断箇所から離れて出血します。10cm離れていたケースもあります。一般開業医では止血は不可能と考えたほうが良いです。
口腔外科の専門医でも出血箇所を見つけるのに1時間かかったケースもあります。オトガイ下動脈 舌下動脈はそれほど太い動脈ではないので失血死することはありませんが、口腔底が膨れ上がり呼吸困難におちいり窒息死する可能性があります。動脈を損傷させたとおもった場合は口腔底を圧迫して、急いで救急車で専門医のいる病院に搬送します。
ドリリング時の下顎舌側への穿孔は非常に危険です。その意味でも 骨の形態をあらかじめCTで知っておくことはとても有利なことです。また、それに備えた手術計画がとても大切です。(歯ぐきを剥がすならば大きく確実に行う事が大切です。)
舌神経の切断
舌神経が最後臼歯の歯槽頂付近に位置することがまれではありません。最後臼歯部の切開線は頬側よりにいれ決して横の切開線をいれてはいけません。切開は頬側よりの縦切開です。切断したら分布領域に麻痺がでます。
下歯槽神経の損傷
下歯槽神経の麻痺は8番(親知らず)を抜歯したり伝達麻酔をした場合に現れることがあり、歯科ではよく遭遇する麻痺です。インプラント埋入の際の損傷は直接ドリルによって損傷を与えるケースと神経には直接触れていなくても骨をけずるときに神経が圧迫され1時的に麻痺がでるケースがあります。一旦麻痺がでてしまうと、確実にそれを治す治療はないため、数ヶ月麻痺が続いたり、最悪の場合、一生麻痺がとれないこともあります。
(2)治療費
インプラントは健康保険外の自費診療のため、治療費はどうしても高額化します。
しかし、きちんと行ったインプラント治療は非常に長持ちであることから、治療時の支払いは高額になるものの、長持ちすることで結局、使用できた期間に対する治療費は他の治療に比べ、極端に高くならない可能性もあります。
(3) 新たな疾患「インプラント歯周炎」罹患の可能性
インプラントはむし歯にならないものの、歯でいう歯周病、つまり、インプラントを支えている骨が溶けるインプラント周囲炎にはなりえます。
インプラント周囲炎になったインプラントを確実に治す治療法はまだ、世界的にも確立されていません。
従って、インプラント周囲炎を起こさない、つまり、予防することが極めて大切です。
具体的には、
-
歯周病のある患者さんは歯周病の治療をしてからインプラント治療を受ける。インプラント周囲炎の原因細菌は、その人の天然歯の歯周病細菌が伝播してくることがわかっています。
-
治療後のおうちでのお手入れや、診療所でのメインテナンス(定期的なチェックとクリーニング)を可能な限り続ける。
こうしたメインテナンス治療は、天然歯の寿命を延ばすことにもつながります。噛む機能が維持された高齢者は、そうでない方に比べ、高齢期の生活の質が極めて高いことが数々の研究でわかっています。
従って、当院では、全ての患者さんにメインテナンスの大切さをご説明し、責任を持ってメインテナンスできるよう、患者さん一人ひとりに担当の(専任の)歯科衛生士がつく担当歯科衛生士制を引いています。
こうした体制の中、1年間に約4000人の患者さんがメンテナンスに当院を利用しています。
ただし、こうしたメインテナンスを続けていてもインプラント周囲炎になってしまうという以下の文献を紹介いたします。
ですから、メインテナンスだけでなく、ブラッシングなどのご家庭でのお手入れも大切ですね。
インプラント歯周炎の発生は、いままでの抜歯の原因が、慢性歯周炎だったか、それ以外(むし歯・破折・根尖病変など)の理由かにより大きく影響を受けます。
Long-term implant prognosis in patients with and without a History of chronic periodontitis: a 10-year prospective cohort study of the ITI Dental System.
Karoussis lk et al. Clin Oral Impl Res,2003;14:329-39によれば、
10年後のインプラント歯周炎の累積発生率は、それぞれ28.6%、
5.8%となっております。従って、歯周病の患者さんではまず歯周病を治療してからインプラント治療となりますし、術後管理もより厳密なプラークコントロールが必要となります。
インプラント治療の利点
インプラント治療の利点を列挙すると以下のようになります。
私自身も、もし、歯を失うことになったら迷わずインプラント治療を選びます。
インプラント治療の利点は?
- とり外さない固定式の治療法
(ネジ止めなら、歯科医師はとり外せる⇒修理しやすく、トラブルに対応) - 取り外しの義歯に使った場合、義歯の受圧条件・加圧条件を改善し、義歯の安定が図れる
- 残存歯を削らない・負担をかけない
- 残存骨の保護
- かみきりがよい
- 動かない
- かみあわせが長く保たれ(=無理な力による破壊が起きにくい)、メンテナンスしやすい。
- 自然感
- 顔の変形を防ぐ
- むし歯にならない
- 長持ち
当院で使用しているストローマンインプラントの生存率・成功率は、
例えばDental implants placement in conjunction with osteotome sinus floor elevation: a 12-year life-table analysis from a prospective study on 588 ITI implants.
Clin Oral Implants Res. 2006Aug;17(4):479.
によれば、12年後の時点で生存率94.8%、成功率90.8%と報告されています。これは、例えばブリッジの平均使用年数が8年(口腔衛生学会雑誌, 45 : 788~793,1995)との報告と比べても大変長持ちです。
インプラントのメリット
●インプラントを用いない従来の治療法
●インプラントを用いた治療法
インプラントの持つ可能性①
歯が抜けてしまった場合の解決策
●歯が1本ない場合
インプラントの持つ可能性②
●歯が複数ない場合
インプラントの持つ可能性③
●歯が全てない場合
インプラントの持つ可能性④
●義歯の固定源としてインプラントをしない従来の義歯
インプラントの持つ可能性⑤
●インプラントを用いた義歯
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インプラントとバーを用いて義歯を固定する方法 | インプラントとスナップのような維持アンカーを用いて義歯を固定する方法 |