欠損を放置した場合の問題点
- ◎喪失歯の方向への隣在歯の傾斜
- ◎正しいかみあわせの喪失
- ◎喪失歯のかみあわせの歯がのびてくる
- ◎歯の間に隙間ができ、ものがつまる
- ◎歯が汚れやすく、虫歯になりやすい
- ◎汚れやすい場所が増えプラーク・歯石がつく
- ◎歯肉がふくれ、出血しやすい
- ◎歯肉にポケットができ、うみがでやすい
欠損はどこまで補うべきか
欠損歯を補うことを補綴とよびます。日本補綴歯科学会のガイドラインでは、「7はなくても悪くない。」とあります。従いまして、通常、6までは補う必要がある。 ただし、北欧の国などでは、短縮歯列とといって、5までの歯列でも悪くはないという考え方があり、ケースによっては5までしか補わない計画とすることもあります。
なお、咀嚼効率としては、7まであると10,6までだと7、5までだと5という報告もあります。
欠損補綴の選択肢とその典型的利点・欠点
1 インプラント
(利点)
- 長持ち。多くの文献で「10年生存率は約95%」と報告されています。
- とりはずさない(ネジ止めなら、歯科医師はとり外せる⇒修理しやすく、トラブルに対応).但し、とりはずしの義歯にも応用可能。
- 残存歯を削らない・負担をかけない
- 残存骨の保護
- かみきりがよい
- 動かない
- かみあわせが長く保たれ(=無理な力による破壊が起きにくい)、メンテナンスしやすい。
- 違和感が少ない・発音しにくい
(欠点)
- 外科処置が必要
- 費用
- インプラント周囲炎になるリスク
2 ブリッジ
(利点)
- 取り外さない
- 伝統的でなじみぶかい
- かみきりがよい
- 動かない
- 外科処置なし
(欠点)
- 残存歯を削り(3案の中では最も削る)、負担をかける。歯根破折で抜歯もありうる
- 清掃しにくい⇒ 歯間ブラシ必要
- 残存骨の吸収
- 保険では第1小臼歯よりうしろ(5.6.7)は全部銀歯となる
- 生活歯をブリッジの支台とする場合、しみが残ったり、ひどい場合は抜髄もありうる
3 とりはずしの義歯
(利点)
- 外科処置なし
- 安い
- 取り外せば清掃しやすい。但し、つけっぱなしだと細菌の巣窟となる。
(欠点)
- 異物感・装着感悪い
- 取り外して清掃する必要あり
- 動く
- 残存歯をわずかに削り、負担をかける
- かめない
- 見た目にバネが見えたりし、審美的によくない
- 顎底の吸収(年に平均0.3~0.5ミリ)とともに、常に常に義歯の裏打ちを足す事になり時間の経過とともに、義歯のプラスチックが厚くなる
- 人工歯がすりへりやすく、かみあわせによる破壊が起き易い⇒メタルオクルーザル
4 移植
(利点)
- 残存歯を削らない・負担をかけない
- 親知らずを利用する場合、保険適応
(欠点)
- 約1カ月は、移植した側で全くかめない
- 外科処置での体に対する侵襲・腫れ・痛みは、インプラントより大きいことが多い。
- 中長期的には骨と癒着したり、根の吸収が起こりやすい