歯ぎしりがある場合、インプラントは大丈夫ですか?
あなたは夜中に歯ぎしりをしていることをご存知でしょうか。朝起きた時に顎が疲れていたり、歯が痛むことはありませんか。
歯ぎしり(ブラキシズム)は多くの方が抱える問題です。しかし、歯を失ってインプラント治療を検討する際、歯ぎしりがあることで治療を諦めてしまう方もいらっしゃいます。
歯ぎしりとインプラントの関係
歯ぎしりは確かにインプラントにとって大きな負担となります。では、歯ぎしりがあるとインプラント治療は受けられないのでしょうか。
答えは「NO」です。適切な対策を講じれば、歯ぎしりがあってもインプラント治療は可能です。
歯ぎしりがインプラントに与える影響
歯ぎしりによる過度な力は、インプラントにどのような影響を与えるのでしょうか。
まず、インプラント周囲の骨に過度な負担をかけます。これにより、骨とインプラントの結合が弱くなる可能性があります。
次に、インプラントの上に装着する人工歯(クラウン)や、インプラントを固定するネジに破損が生じることがあります。特にセラミック製の人工歯は割れやすくなります。
さらに、インプラント周囲の歯茎にも炎症が起こりやすくなります。これがインプラント周囲炎につながる可能性があります。
歯ぎしりの対策法
では、歯ぎしりがある場合、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
ナイトガードの使用
最も効果的な対策はナイトガードの使用です。ナイトガードとは、夜間に装着するマウスピースのことです。
ナイトガードは歯ぎしりによる力を分散させます。これにより、インプラントにかかる負担を軽減できます。
当院では、患者さんの歯型に合わせたオーダーメイドのナイトガードを作製します。市販のものと比べて、フィット感や効果が格段に違います。
インプラントの設計・材料の工夫
歯ぎしりがある患者さんには、特別な配慮が必要です。
インプラントの本数を増やすことがあります。これにより、1本あたりにかかる負担を軽減できます。
人工歯の材料選択も重要です。セラミックよりも強度の高いジルコニアや、金属を使用することがあります。
また、インプラントを固定するネジも、より強度の高いものを選択します。
術前の診査・診断の重要性
歯ぎしりがある患者さんでは、特に詳細な診査・診断が必要です。
まず、歯ぎしりの程度を正確に把握します。軽度なのか、重度なのかによって治療方針が変わります。
次に、残存歯の状態を詳しく調べます。歯ぎしりにより、他の歯にも影響が出ている可能性があります。
CT撮影により、顎の骨の状態も詳しく調べます。骨の厚さや質により、インプラントの埋入方法を決定します。
治療後のメンテナンスが重要
歯ぎしりがある患者さんでは、治療後のメンテナンスがより重要になります。
定期的な検診により、インプラントの状態をチェックします。ネジの緩みや人工歯の摩耗がないか確認します。
ナイトガードの状態も定期的にチェックします。摩耗により効果が低下している場合は、新しいものを作製します。
当院では、インプラントの上部構造1本につき310円の費用で定期検診を行っています。これは、長期的にインプラントを維持するために必要な投資と考えています。
実際の治療例
当院で治療した患者さんの例をご紹介します。
50代の男性で、重度の歯ぎしりがありました。奥歯を失い、入れ歯を嫌がってインプラント治療を希望されました。
まず、歯ぎしりの治療から始めました。ナイトガードを作製し、使用方法を詳しく説明しました。
3ヶ月後、歯ぎしりが軽減されたことを確認してから、インプラント治療を開始しました。
通常よりも太いインプラントを2本埋入し、ジルコニア製の人工歯を装着しました。
治療後3年が経過しましたが、問題なく使用されています。ナイトガードも継続して使用されています。
他の治療法との比較
歯ぎしりがある場合、他の治療法はどうでしょうか。
ブリッジの場合、支えとなる歯に過度な負担がかかります。歯ぎしりがあると、支えの歯が割れるリスクが高くなります。
入れ歯の場合、歯ぎしりにより入れ歯が壊れやすくなります。また、顎の骨の吸収も進みやすくなります。
これらと比較すると、適切な対策を講じたインプラント治療が最も良い選択肢と言えるでしょう。
費用について
歯ぎしりがある患者さんのインプラント治療では、追加の費用がかかることがあります。
ナイトガードの作製費用や、より強度の高い材料を使用するための費用などです。
しかし、これらは長期的にインプラントを維持するための必要な投資です。安い治療を受けて、すぐにダメになってしまっては意味がありません。
当院では、患者さんの状態に応じて最適な治療計画をご提案します。費用についても詳しくご説明いたします。
まとめ
歯ぎしりがあってもインプラント治療は可能です。しかし、適切な対策と十分な管理が必要です。
ナイトガードの使用、インプラントの設計の工夫、定期的なメンテナンスが成功の鍵となります。
あなたも歯ぎしりでインプラント治療を諦めていませんか。まずは専門医に相談してみてください。
当院では、日本口腔インプラント学会認定の専門医が、あなたの状態に最適な治療法をご提案いたします。
歯ぎしりがあるからといって、諦める必要はありません。適切な治療により、快適な食生活を取り戻すことができるのです。